宋文洲の傍目八目 - 中国の近代化と祖国を捨てた人々の関係
『しかし、「華僑とは何か」について、日本の人々はなかなか具体的なイメージをつかめないようです。なぜなのか分かりませんが、華僑の活動が少ない国の1つが日本です。彼らが身近にいれば、日本の方ももう少し華僑の実態を理解しやすいかもしれません。
少なくとも「外国にいる中国人」というイメージは間違っています。華僑たちはもう中国に戻らない、他の国に根を下ろした人たちです。正確にいえば、彼らは「祖国」を捨てているのです。
華僑の先祖の多くは、過去に祖国と戦ったことがあるのです。中国は朝廷交代の歴史です。同じ国の中にいる異なる民族と異なる思想を持つ人々が、それまでの統治のあり方を否定=革命を繰り返してきました。
革命が成功しようが失敗しようが、戦いに敗れる人がいます。敗者は残党狩りから逃れるために、海外に脱出しました。日本人の感覚だと「祖国を捨てた」ということになるのでしょう』
『華僑の誕生には、必ずと言ってよいほど中国の大地における国のあり方と統治思想に関する戦いがありました。二度と戻れないと決意した彼らは、渡っていった土地で政治に関わることを避け、その土地の人々に反感を持たれないようにひたむきに生きることを学びます。
このような生き方を選んだ5000万人の華僑は、中国の様々な異なる価値観と異なる思想背景を持ちながらも所在国の文化と思想を受け入れ、調和と自立を重んじる生き方をしています。依存する国や組織がないため、華僑の人々は家族、親戚や友人を大切にし、リスクを常に世界中に分散するような努力をしています。
華僑になった人々は、決して単純な愛国心で中国とのビジネスに励んでいるわけではありません。その土地にチャンスと投資効果がない限り華僑たちはそこにとどまることはありません。祖国も捨てた彼らはグローバル勢力として結果的に中国経済のグローバル化に寄与し、資本主義の遺伝子を植えつけることになっています』
こういった歴史解説は授業と違ってすんなり頭に入ってくる。
こんな経緯も含めた説明だと応用も利くし自分の考えも広がるし、勉強になる^^