西正が贈るメディア情報 - 楽天を支持する者にNHKを語る資格は無い
『スピルバーグやルーカスはハリウッドの徒弟制度等に嫌気して、飛び出したわけだし、「唯作品論」をしつこく持ち出すならば、日本には放送局の人間より一桁少ない給与で作品作りに取り組んでいる制作プロダクションが山ほどある。どうせ投資するなら、そこに投資することによって、今までは放送局の言いなりに我慢しなければならなかった人たちに、自由な「作品作り」を任せられるように思う』
業界は違えど、自分たちも大手よりかなり少ない給与でシステム開発をしてるから気持ちは分かるね。わざわざ馬鹿高いマージンを取る大手を通さなくても、コンテンツが目的なら直接買えばいいのにねぇ、って。大手を買うメリットがゼロじゃ無いのは分かるけど。。。
『ひと昔前は、電波を持っている放送局に逆らってしまっては、自分たちの作品を出していく窓が無かったのだから仕方がない。けれども、楽天に限らず、ネットで成長してきた企業にとっては、別に電波を持つ放送局なんかに頼らなくても、ネットという強い窓を持っているわけだし。本当に世界のメディアといった謳い文句を言うなら、どうして力のある制作プロダションに投資をせず、ブランドだけを追い求めてTBSと組みに行くのかが分からない。ライブドアの時のフジについても同じことを思った。年若き革命者のような登場の仕方をしながら、欲しいものは「オールド・ブランド」だというところが分からない。
変える自信なんか無いのかな?』
楽天(やライブドア)ってのは、古い従来のやり方を変えられずに柔軟性や機動力を失ってしまった大企業群の中、IT技術に加えて若い世代なら「こうすりゃ楽だし効率いいじゃん」って当たり前のように分かってるやり方を取り入れて、言うならば隙をうまく突いて成長してきただけだと思ってる。もちろん、ここまで大きな会社にできるんだから彼らの頭のデキはいいだろうし、大きなリスクを負いつつ借金して事業を興す勇気というのもあっての話だから、馬鹿にしてる訳じゃない。
それとは別な話で、何というか、例えば楽天が出来てとても便利にはなったけど、あの仕組み(店舗指導も含めて)自体を凄いと思ったことはない。新しいって感覚ではないんだな。これまでの商売形態をITで置き換えて、各店舗に売れる営業のやり方を教えてあげただけ、みたいな。もちろんTV番組とのタイアップとか、細かな店舗サポートの努力はたくさん積み重ねてるだろうけどね。
でも創造性のなさというか何というか、「別にTV局を買って無理に通信と組み合わせる必要もないんでないの?」って考えは確かに浮かんでくるね。双方向で通信できるネットワークを持ってるのに、何でランクの落ちる一方通行のメディアを買うの?ってね。
だから自分にとってはニュースの世論調査とかで見る「何か変えてくれそうだから賛成」って理由よりも少しネガティブで、「何が目的でTV局を買うの?想像通りの単純な理由なの?」って疑問があって、それは実際に楽天がTBSをうまく取り込んだ後でないと確認できないわけで、そういう意味でちょっとこの先を見てみたい気もする。ここには散々知ったような批判を書いてしまったけど、もしかしたらアッと驚く何かを見せてくれるのかもしれないし。
三木谷さんの顔つきはおだやかで誠実そう、且つ真剣さも見て取れて好きな方。だけどやっぱり、ネットビジネスにしても何にしても自分たちで新しい何かを創り出して会社を大きくしていく、で、それが新しい時代の手本にもなっていく、そんなリーダーの出現を期待するね。