@IT - ITエンジニアを続けるうえでのヒント - 「見える化」だけでは見えないもの
「『何のために生きるのか』(致知出版社刊)において、五木寛之氏は以下のように説明しています。
日露戦争のころに大本営が、情報将校という、その当時でいう情報部員を大陸とかシベリアへたくさん派遣して情報収集をさせました。彼らが集めた情報のなかには、重要な情報、本質的な情報と、わりあい低く見られた情報とがあったという。敵の兵力とか大砲の数とか兵馬の数字とか補給線の様子とか、こういう情報は必要な情報ではあるけれども、あまり高級な情報とされなかった。むしろ敵の兵士たちの士気、あるいはその国の国民たちが、いまどう思っているか、そういう感情を分析して、それをきちんと把握して伝える情報を最も高度な情報として大事にしたらしい。(中略)
たとえば、クロポトキンが数万の大軍を率いて奉天にやってくる。日本軍にとっては大きな脅威ですね。そのときに、敵の兵力はこれだけある、火力はこれだけある、機関銃は何丁ある、敵のほうが圧倒的に勝っているから日本は負ける。こういう情報は低い情報なんです。
むしろ大切なことはこういう情報です。クロポトキンは名将であり、数万の大軍は大きな兵力であるけれども、その兵士を分類してみると、ロシア人の兵士だけではない。植民地のポーランドから徴発した兵士やチェコの兵士、あるいは周辺の農村部のウクライナとかアルメニアの兵士たちもたくさんいる。いま本国ではロシア革命が進行しつつあって、農村の兵士たちはロシア皇帝のためにいのちを投げ出して死のうとは思っていない。そして植民地の兵士たちは忠誠心もたいしたことはない。だから、数万の大軍ではあるが、その士気はさほど高くないから恐るるに足らない―――。こういう分析がいちばん高級な情報とされたらしいのです。これらはまさに相手の心情をつたえているわけですね。そういう情報を真の情報というのだと思うんです。
こういう考え方は、何も日露戦争のときだけの話ではありません。織田信長も桶狭間の戦いの際、今川義元の大軍の隙をついて勝機を見いだしました。敵の士気の高さや敵が何を考えているかという情報は、勝つための状況判断に必要な、時代を超えた「高級な情報」なのです」
数値報告による「見える化」の重要性に触れた上で、後半、「見える化だけでは見えないもの」について説明してる。後者は記事で分かりやすく書かれてるから読んでもらえばいいとして、見える化の方。
昔、とある大企業に長期常駐してたときにプロジェクト進捗管理の講習を受けた。そこで印象に残ったのが、
「進捗を数値化する際、感覚的な情報を無理やり数値化しないこと。例えば、『あと少しでできそうだから進捗90%』というのは駄目。作業が終わって、その確認(テスト等)が終わったものを100%、それ以外は0%としてください。要するに○×だけでOKということです。作業は完了を判定できる範囲でなるべく細かく分けて、その未完と完了の数を集計するようにしてください」
みたいな説明だった。
定量化不可能な定性情報を無理やり定量化しちゃ駄目だよって話。
人間には感情があるから、例えば「スケジュール上の予定期日が迫ってる」ってなると、その焦りや「できるはずだ」って全く根拠のない期待感から、全く作業が進んでなくても進捗を70%から80%に上げてみたりしちゃう。そんな数値、意味がないよね。
あと、1つの作業単位を「0%~100%の間で定量化しろ」なんて言われても、明確な基準がないと「どれくらい進んでるだろ?」なんて考えるだけで時間が過ぎていく。報告に無駄な時間を掛けてるのがもったいない。
それに、例えば「コーディングまでできたら50%、テストが完了して100%」って基準を設けたとしても、じゃぁテストで欠陥が発見されたら進捗は0%に戻るの?それとも75%?完成してないのに進むの?みたいなねw
定量化できない定性情報は、それはそれで大切だからしっかり収集・報告する。それと同時に、曖昧さを極力排除した精度の高い定量情報も報告する。
どちらも大事だよね。
(実は苦手な自分。頑張らねば^^)
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